テキストを読むな、図を見ろ。NotebookLMスライド機能で、令和4年の難問が「秒」で溶けた話。

最近、僕の学習環境に「革命」が起きています。 以前の記事で少し触れた、NotebookLMの「スライド作成機能」。

これが、控えめに言って「神」です。

しかし、使い込んでいくうちに「残酷な真実」に気づいてしまいました。
これ、ただ漫然と使うだけだと、「見た目は綺麗だけど、試験には全く役に立たないガラクタ」が量産されるだけなんです。

今日は、この新機能の「詳細な使い方」を徹底解説しつつ、それを「本当に試験で使える武器(得点源)」に変えるための、泥臭い検証記録を公開します。


目次

1. 「読む」学習から「見る」学習へ

独学で一番つらいのが、難解なテキストを読んでいる時です。

財務・会計の「NPV」や「IRR」。文字を追っているだけで、強烈な睡魔が襲ってくる。

「誰か、これを図解してくれ…」

そんな願いを叶えてくれるのが、NotebookLMに追加された新機能「スライド作成」と「インフォグラフィック」です。

これを使えば、「テキストを読む」という苦行をスキップして、いきなり「図解で理解する」というショートカットが可能になります。

まずは、この機能の正体を正しく理解しましょう。

2. 【完全ガイド】NotebookLM「スライド機能」の使い方

「でも、普通の生成AI(GeminiやChatGPT)でも図は作れるでしょ?」

そう思うかもしれませんが、決定的な違いがあります。

✅ 最大の強み:「ソースグラウンディング」

NotebookLMは、「あなたがアップロードした資料(ソース)」だけを根拠にします。

ネット上の適当な情報を拾ってきたり、AIが知ったかぶりで嘘をつく(ハルシネーション)リスクが極めて低い。

つまり、「手元の教科書の内容を、忠実に図解してくれる」。 これが、試験勉強において何よりも重要な信頼性になります。

🛠 ステップバイステップ操作手順

使い方はシンプルですが、「コツ」があります。

Step 1:ソースを追加する

まず、NotebookLMに「理解したい教材」を読み込ませます。
PDF、WebサイトのURL、テキストの貼り付けなど何でもOKです。

この辺りは私の学習OSの記事でも解説していますが、この辺りは自身で使用しているテキスト類を読み込ませておくと良いでしょう。

Step 2:「Studio」パネルを開く

資料を読み込ませたら、チャット画面ではなく、画面右側(スマホなら下部)にある「Studio」というパネルを見ます。

ここに新機能が集約されています。

Step 3:形式を選択する

以下の2つから選びます。

  • スライド資料 (Slide Deck): パワポのような複数枚のスライド。全体の流れを掴むのに最適。
  • インフォグラフィック (Infographic): 1枚の縦長画像にまとめる形式。要点の比較や一覧に最適。

Step 4:【最重要】カスタマイズする(鉛筆マーク)

ここが運命の分かれ道です。

ボタンをそのまま押さず、横にある「鉛筆マーク」を押してください。

ここで「対象読者(誰向け?)」や「トーン(真面目?カジュアル?)」、そして「具体的な指示(プロンプト)」を入力できます。

この「指示」をサボるとどうなるか。 それを次章で証明します。

🚀 【徹底検証】「デフォルト指示」vs「学習OS指示」

今回、中小企業診断士試験の頻出論点である「設備投資の経済性計算(NPV・IRRなど)」をテーマに、出力の差を比較検証しました。

⚠️ パターンA:一般的な指示(デフォルト)

何も考えず、「投資評価の基本についてスライドを作って」とだけ指示した場合です。

【分析結果:△】

見た目:
非常に綺麗です。「現在価値への割引」のイメージ図などは、初学者の導入としては分かりやすい。
内容:
「NPVとは何か」「IRRとは何か」という「定義」が並んでいるだけ。
試験適性:
ほぼゼロ。 教科書の目次を眺めているのと変わりません。
「ふーん、そうなんだ」で終わり、過去問を解く力には繋がりません。

💡 パターンB:学習OSプロンプトでの出力

次に、僕が開発した「学習OSプロンプト」を入力して生成した場合です。

※指示内容:
僕が学習OSプロンプトに問題文の解説を依頼した内容です。
※とっても長いので折りたたんでいます。

【弱点補強モードを起動します】

まとめシート設計図:B. 財務・会計 – [ファイナンス領域] – [設備投資の経済性計算] ランク:A (マスターリストに基づき、1次・2次共通の最重要得点源であり、合否を分ける骨格知識であるため) 関連問題:令和4年度 第21問

■ 知識の「骨子」と「相関図」

  • 【この理論の骨子は?】
  • 企業が将来の利益獲得のために行う設備投資について、「回収期間法」「正味現在価値法(NPV)」「内部収益率法(IRR)」などの指標を用いて、その投資が企業価値を高めるか(儲かるか)を判定する意思決定ツールです。
  • 【必須キーワード(知識の相関図)】
  • [設備投資の評価]
  • → [時間価値を考慮しない] → (回収期間法) → (欠点:回収後のCF無視)
  • → [時間価値を考慮する(DCF法)]
  • → [正味現在価値法(NPV)] → (企業価値最大化と整合) → (再投資率 = 資本コスト)
  • → [内部収益率法(IRR)] → (利益率重視) → (欠点:複数解、規模の無視) → (再投資率 = IRR自体)

■ 出題者の視点 / 徹底的な間違い分析

  • 【なぜ間違えたか?(自己分析)】
  • (AIによる推定分析)
  • □ ③混同・勘違い:記述cの「複数解が得られる」という現象を、IRR法ではなくNPV法の性質だと誤認した可能性があります。
  • □ ②理解不足:記述dの「相互排他的投資案」において、なぜIRR法が企業価値最大化をもたらさない場合があるのか(NPV法との対立)の理屈が曖昧だった可能性があります。
  • 【出題者のワナ(本質)】
  • 主語のすり替え:記述cは、本来「IRR(内部収益率法)」の欠点である『キャッシュフローの符号が複数回変化すると解が複数出る』という現象を、あたかも「NPV法」の特徴であるかのように記述し、受験生を混乱させる典型的なトラップです。
  • 【なぜ”あの選択肢”は魅力的に見えたか?】
  • 記述a(回収期間が短い=IRRが高い)は、直感的には「早く回収できれば利回りも良さそう」と感じやすいため、計算ロジック(時間の概念)を厳密に理解していないと正しく見えてしまいます。しかし、回収期間が短くても、その後のCFがゼロであればIRRは低くなる可能性があります。

■ 正しい解法プロセス(こうすれば解けた!)

  • Step 1: 設問の”要求”と”制約条件”の特定
  • 最も適切な記述の「組み合わせ」を選ぶ問題です。各記述(a~d)について、〇か×かを判定する必要があります。
  • Step 2: 思考の”軸”となる理論(計算式)の特定
  • 3つの評価手法(回収期間法、NPV法、IRR法)の「定義」と「メリット・デメリット」を脳内の比較表から引き出します。
  • Step 3: “計算プロセス”の実行と論理展開
  • 検証 a: 回収期間法は「いつ元が取れるか」だけを見る。IRRは「全期間の利回り」。回収期間が短くても後半のCFが少なければIRRは低くなるため、必ずしも高くならない。 → ×
  • 検証 b: 回収期間法は、投資額を回収した「後」にどれだけ大きなCFがあっても評価しない(無視する)。これが最大の欠点。 → 
  • 検証 c: 「CFの符号が複数回変化する場合、異なるいくつかの値が得られる」のは、高次方程式を解くIRR法の欠点。NPV法は割引率を決めれば値は一つに決まる。 → ×
  • 検証 d: 投資規模が異なる場合など、IRR(率)が高くてもNPV(額)が小さい場合がある。企業価値を最大化するのはNPV(額)の最大化であるため、IRR法だけで判断すると誤ることがある。 → 
  • Step 4: 唯一の”最適解”の確定
  • 正しい記述は b と d であるため、選択肢「エ」が正解となります。

■ ここで差がつく!「混同知識」と「適用限界」

  • 【比較テーマ】 :NPV法 vs IRR法(相互排他的投資案での対立)
  • NPV法(正味現在価値) :
  • 特徴:投資による「富の増加額(金額)」を示す。
  • 再投資の仮定:獲得したCFは「資本コスト」で再運用されると仮定(現実的)。
  • 判定:相互排他的案件では、NPVが大きい方を採用する(企業価値最大化)。
  • IRR法(内部収益率) :
  • 特徴:投資の「効率性(利回り)」を示す。
  • 再投資の仮定:獲得したCFは「IRRそのもの」で再運用されると仮定(高利回りの場合、非現実的になりがち)。
  • 判定:NPVと判断が分かれた場合、NPVを優先すべき。
  • 使い分けのポイント :2次試験(事例IV)では、絶対額である「NPV」が絶対的な正義です。IRRはあくまで参考指標として扱います。
  • 【この理論の”適用限界”(ワナ)】
  • 回収期間法は、「流動性(資金繰り)」を重視する中小企業では実務的に好まれますが、収益性を正しく評価できないため、診断士試験の理論的な正解としては「不完全な手法」として扱われます。

■ 実戦への架け橋(診断士としての使い方)

  • 【この論点は2次(事例Ⅳ)でどう使われる?】
  • 事例IVの最大テーマである「設備投資の意思決定」において、NPVの計算は避けて通れません。
  • 本問の知識(NPVとIRRの違い、回収期間法の欠点)は、計算結果に対する「定性的な評価コメント」を求められた際の記述根拠としてそのまま使えます。
  • 【現場での”シグナル”(経営者のこの言葉に注意)】
  • 「うちは3年で元が取れない投資はしない!」 → 回収期間法の発想です。「社長、それだと3年目以降に莫大な利益を生む金の卵を捨ててしまう可能性がありますよ」と、NPVの視点で補正してあげるのが診断士の役割です。
  • 【改善策の引き出し(提案の型)】
  • 「投資案の選定にあたっては、回収期間だけでなく、時間価値を考慮した正味現在価値法(NPV)を併用し、企業価値の最大化を図るべきである。」

🌟 アクションプラン(次の一手)

  • 【ミスの傾向分析】
  • (AI分析):もしこの問題を間違えた場合、各評価手法の「定義」だけでなく、「前提条件(再投資率など)」や「欠点」の理解が浅い可能性があります。特に「NPVとIRRの比較」は頻出論点です。
  • 【具体的な次の一手】
  • この失敗を「血肉」に変えるため、**「相互排他的投資案の判定(NPVとIRRの矛盾)」を扱った過去問(例:H26 第16問、R1 第16問など)**を確認し、なぜNPVが優先されるのかを自分の言葉で説明できるようにしてください。
  • その際、■ 正しい解法プロセスのStep 3(各選択肢の検証)を特に意識すること。

さあ、相棒!この『設計図』をNotebookLMに統合し、あなたの知の体系をさらに強固なものにしましょう!次は、[NPVとIRRの比較表を自作し、それぞれのメリット・デメリットを書き出すこと]を試してみてください!

【分析結果:◎】

一目瞭然だと思います。もはや「別モノ」です。
比較構造:
「回収期間法・NPV法・IRR法」が並列で比較され、それぞれの「メリットvsデメリット」が明確化されています。
試験対策:
右側に「試験で狙われる!出題者のワナ」というコーナーが出現しました。
判断基準:
「相互排他的投資案ではNPVを優先する」という、試験で最も問われる結論が明記されています。

これこそが、僕らが試験会場に持っていくべき「武器」です。

📝 【実戦証明】令和4年の過去問を「秒」で解く

「でも、図が詳しいだけでしょ? 点数になるの?」
そう思う疑り深いあなたのために、実際の過去問を使って検証します。

令和4年度 第21問の問題です。
このスライド(パターンB)が手元にあれば、知識ゼロでも解けるのか?

■令和4年度 第21問

投資の評価基準に関する記述として,最も適切な組み合わせを下記の解答群から選べ。

a 回収期間が短いほど,内部収益率は高くなる。
b 回収期間法では,回収後のキャッシュフローを無視している。
c 正味現在価値法では,投資によって生じる毎年のキャッシュフローの符号が複数回変化する場合,異なるいくつかの値が得られる場合がある。
d 内部収益率法を用いて相互排他的投資案を判定すると,企業価値の最大化をもたらさないことがある。

〔 解答群〕
ア aと b
イ a と c
ウ bとc
工 bと d
オ cと d

独学だと「えっと…回収期間法ってなんだっけ?」「相互排他的って?」と迷う難問です。
しかし、先ほどの「学習OSスライド(パターンB)」を拡大して見てください。

▼ 選択肢 b の判定
スライドの左側、「回収期間法」の「× デメリット」欄に、ハッキリこう書いてあります。

「回収期間後のキャッシュフローを完全に無視するため、プロジェクト全体の収益性を評価できない」

そのまんまです。

よって、選択肢 b は「正解(○)」

秒殺です。

▼ 選択肢 d の判定
スライドの右側、「ワナ①」の欄を見てください。

「相互排他的投資案(どれか一つしか選べない案件)でNPV法とIRR法の結論が異なる場合、企業価値を最大化するNPV法の判断を優先する」

これを裏返して読み解けば、「IRR法だと企業価値最大化にならないことがある(だからNPVを優先する)」という意味です。

よって、選択肢 d も「正解(○)」

結論:正解は「エ(bとd)」

【悲報】「スライド作成」は1日3回までです

ここで、一つだけ残酷な事実をお伝えしなければなりません。

この神機能、実は「回数制限」があります。

NotebookLMには無料版と有料版(Pro)があるのですが、生成回数にこれだけの差があります。

(※2024年12月時点の仕様)

項目無料版Pro版 (有料)
スライド生成1日 3回1日 20回
インフォグラフィック1日 3回1日 15回
チャット回数1日 50回1日 500回
ノートブック数最大 100個最大 500個

見ての通り、無料版ではスライドもインフォグラフィックも「1日3回」しか作れません。

つまり、「適当な指示を出して、変なスライドが出たからやり直す」という試行錯誤をしていると、あっという間にその日の権利が消滅します。

「あ、失敗した…」と思った時には、もう翌日までお預けです。

だからこそ、「一発」で仕留める必要があるんです。

貴重な3回を、「ゴミ生成」に使うか、「神教材の錬成」に使うか。

その運命を分けるのが、AIへの「指示(プロンプト)」です。

💡 結論:AIは「指示」が9割

検証結果は明らかでした。

同じAI、同じ教科書(ソース)を使っていても、「どう指示するか(プロンプト)」ひとつで、出力される資料は「ゴミ」にも「神教材」にもなります。

指示あり: 「試験に出るワナ」や「比較ポイント」にフォーカスを絞る(解像度が高い)。

指示なし: ぼんやりと全体を見る(解像度が低い)。

NotebookLMの「スライド機能」は、独学者にとって最強の時短ツールです。

ですが、それを使いこなすには、AIに対して「試験官の視点」で指示を出す必要があります。

そして、「1日3回」という制限がある以上、僕たちに失敗している余裕はありません。

「そんなプロンプト、自分で考えるのは面倒くさい…」

「貴重な3回を無駄にしたくない」

「今すぐ、このレベルのスライドを一発で出したい」

そんな方は、僕が長い時間をかけて磨き上げたプロンプトを使ってください。
あなたのNotebookLMを、今日から「最強の参謀」に変えます。

▼ コピペで使える『ログシバ式 学習OSプロンプト』はこちら

※今回使用した「弱点補強モード」のプロンプトも完全収録されています。

まとめ:時間を「ツール」で買おう

テキストを読んで「うーん、わからん…」と唸っている1時間は、何も生み出しません。

その1時間を、AIに図解させて「あ、なるほど!」と腹落ちする5分に変える。

残った55分で、過去問を解く。

これが、リソースのない社会人が勝つための生存戦略です。

まずは今日、手持ちのPDFを放り込んで、「最初の1回」を試してみてください。

世界に一つだけの「AI図解講義」が、あなたを待っています。

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